謄写印刷器材店のPR誌から覗いた戦前・戦後史
昭和27年(1952年)


昭和27年は、No.36からNo.45まで10冊を発行しました。下の年表からもうかがえるように、この年は日本の戦後が一つの区切りを迎えた年で、新年号の幅弓之助のあいさつにも、《平和と独立の年、昭和二十七年を迎えました。(…)西に東にただならぬ雲行をみせている国際情勢や、賠償問題、再軍備問題等、多難な前途を思わせる国内情勢》とあります。

謄写印刷界の大きな出来事は、8月、東西の業者50名が東京・後楽園で会合を開いて、全国組織結成への動きが始まったことです。この会合は、月報の発行や賀状コンクールの開催で広い連絡網を持つ昭和堂に、大阪の有志が斡旋を申し入れて実現したものです。

『月報』の記事では、No.37、No.38で印刷料金を取り上げたのが目立ちます。実務に即した積算方法とともに、石見、松山、長崎、佐世保など、地方の実状も伝えています。そのほか、北海道、九州をはじめ、各地の業界動向に多くのページがあてられました。
編集陣では、活動の力点を業界運動に移しつつあった竹内三二郎氏にかわり、小針美男氏の役割が増していたようです。上の図版は、その小針氏が多色謄写印刷の実物見本としてNo.36に掲載したものです。
第T部 戦前編
昭和8年〜12年

第U部 戦後編
昭和23年(1948)
昭和24年(1949)
昭和25年(1950)
昭和26年(1951)
昭和27年(1952)
昭和28年(1953)
昭和29年(1954)
昭和30年(1955)
昭和31年(1956)
昭和32年(1957)
昭和33年(1958)
昭和34年(1959)
昭和35年(1960)

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■この年
2月、世界卓球選手権大会に日本が初参加。全7種目中4種目で優勝。
4月、NHK、ラジオドラマ「君の名は」の放送を開始。
4月、対日講和条約、日米安全保障条約が発効。GHQ(連合軍総司令部)廃止。
5月、血のメーデー事件。
5月、白井義男、日本人初のボクシング世界チャンピオンとなる。
7月、日本、オリンピックに復帰。
7月、破壊活動防止法公布。
8月、東京・大阪の謄写印刷業者が東京・後楽園の涵徳亭で懇談、全国組織結成への気運を開く。
10月、警察予備隊を改組し、保安隊発足(後の自衛隊)。
12月、長期信用銀行、発足。
この年寺田健氏、組版用タイプライターを開発し、タイプ印刷(孔版タイプ、タイプ孔版)の道を開く。