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板祐生 ―― 人とコレクション
稲田セツ子/「祐生出会いの館」調査研究員


[5] 1400枚に及ぶポスターコレクション

サクラビール 大正2(1913年)年、日本製版印刷合資会社が広告図案懸賞募集を行い、1等に入賞した作品。同年発行されたサクラビールのポスターとなり、7万枚のケタ外れの注文がついたといわれる。大正2年、北野恒富作、下関「鈴木商店」より入手。 赤玉ポートワイン 日本で初めてのセミヌードポスターとして話題を呼んだ作品で、当時としては珍しい写真製版。大正11(1922)年ドイツでの世界ポスターコンクールに1等賞を得たもの。ワインの赤に6時間を要したといわれる。大正11年制作、入手経路不明。

我が国では、絵ビラと呼ばれていたのが今でいうポスターで、店の中や外に広告を目的に貼られたものを指します。
明治の開花文明の一つとして、日本の印刷技術の急速な進歩が挙げられ、視覚に訴えるメディアとして、更に大正期に入ると、商業の宣伝、広告のために人の目につきやすい強いインパクトを与える絵ビラが要求されることになり、専門の図案家が登場します。
室内で掲示されることの多かった日本のポスターの場合は、室内装飾に耐えうる美術品としての要素も与えられてきました。従って、図案も時代の流れとともに古典的な題材から現代的な雰囲気のものへと移り、古典的な美人から現代的な女性へと、着物から洋服へと変わっていきます。
祐生は、既に「ポスター」の持つ芸術性に目を向け、美術品としての価値を与えていたことが1400枚にも及ぶコレクションからうかがい知ることができます。

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