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板祐生 ―― 人とコレクション 稲田セツ子/「祐生出会いの館」調査研究員 [3] 亡き子の面影を重ねて
祐生の孔版画作品は郷土玩具が主要なテーマとなっています。1日に1度は童心にかえって玩具を眺める時間を持ち、お子さんの面影と重ねた祐生でした。 「郷土玩具はいずれ廃れてしまう時がくる」と、土人形の行く末を案じ、頂いた玩具の色と形を忠実に写し取って孔版画に残しました。
祐生は、西伯の地からほとんど離れず、これらの郷土玩具を自ら出掛けていって集めることはありませんでした。交通の不便な山村にあって、これだけの郷土玩具が集まったことは、正に驚異というほかありません。 「人を得ることは、至難の技」といい、「真に人を得てこそ、蒐集の実が挙げられる」。さらに「黄金より珠よりもなほ尊きは、人の心の情けなり」(髫髪歓賞4 昭和9年刊)と詠った祐生でした。祐生のこよなく愛した郷土玩具は、製作年代が古く、色の劣化も進まず、保存状態も良好とあって、皆さんに高い評価を頂いています。郷土玩具と孔版画の組み合わせも珍しく、ユニークな博物館として「祐生出会いの館」は来館者の目を楽しませています。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] |
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