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drupa2004レポート ―― 高い水準で開発が進むオフセット印刷 5月に開催されたdrupa2004の模様から、一部を紹介します。「SHOWA NEWS」No.102所集「drupa 2004レポート」からの転載です。全文は同号をご覧ください。 (2004.8.2)
三菱重工のサイズ可変印刷機 三菱重工業が意欲的な新システムを発表した。 ひとつは、1台の印刷機でA判、B判などを切りかえられるサイズ可変輪転印刷機DIAMOND 16MAX-V。版胴とブランケット胴の構造に工夫があり、胴軸に版を貼り付けたスリーブやブランケットを貼り付けたスリーブを嵌め込む構造として、スリーブの厚さを可変にすることで円周長を変え、印刷長を変えている。今回の試作品では、カットオフ選択の範囲は546mmから625mmまでとなっている。 もうひとつは、刷版の再利用が可能な機側版再生装置RPS-X1。現在は、DIAMOND 16MAX-Vとあわせて使う形で開発が進められているが、原理的には他システムでの利用が可能。一般のDI機で採用されている機上製版装置ではなく、オフラインの製版装置なので、製版のために印刷機を停止させる必要がなく、版交換の時間だけですむ。 両システムとも、2年以内の実用化を目指している模様で、今後しばらく業界の注目を引きそうである。 実用にこぎつけたDICOweb 版材の再利用が可能なシステムとしては、drupa 2000で発表されたマン・ローランドのDICOwebがある。その後の開発は遅れ気味だったが、一昨年には各地の展示会に稼動状態で出品されるようになり、新聞社などでパイロット導入もはじまった。今回のdrupa 2004での展示は、その仕上げといえるもので、パイロットユーザーでの実用例が、実際の製品サンプルや焼付けイメージ、システム準備時間の実例とともに紹介された。 オンプレスDIは減少 前回のdrupaで主要メーカーが開発を競ったオンプレス方式のDI機は、出品が減った。 その中で大日本スクリーンが、2ユニットによる4色機TruePress 344を発表した。印刷しながら印刷物の絵柄や水パッチを読み取って分析、自動的にインキや水の量をコントロールする機能を搭載し、プロセスレス感材を採用した意欲的な新製品である。プレートはコニカミノルタが提供、印刷機構はハマダ印刷機械との共同開発。今年10月の発売を予定している。 このほか、リョービイマジクスは、前回drupaで発表したDI機RYOBI 3404 DIをベースに 印刷品質、自動化機能、操作性を向上させたRYOBI 3404X-DIとオプションのUV乾燥装置を発表した。日本勢では、篠原も昨年のIGASで試作展示した52unoを出品した。ハイデルベルグは、Quickmaster DI用のUVオプションを出品。また、KBA(ケーニッヒ&バウアー)は、A2判の74 Karatに加え、A3判の新製品46 Karatを発表した。この分野での意欲を強めているKPG(コダック・ポリクローム・グラフィックス)は、エントリーモデルのDirectPress 5634 DIを追加して、ラインアップを拡充した。 DI装置のトップメーカーであるプレステックは、RYOBI 3404X-DI、46 Karat Plus、KPG DirectPress 5634 DIに、DI装置のニューモデルProFire Excelを提供している。 単体からフローへ オフセット印刷機全般を見渡すと、高いレベルでメーカー各社がしのぎを削っている。 トップメーカーのハイデルベルグは、基本設計を一からやりなおして開発したSpeedmaster XL 105(700mm×1000mm)を発表、18000枚/時で安定して印刷できる性能を実現した。マン・ローランドのRoland 500(590mm×740mm)も18000枚/時を達成している。 欧米で需要のある大判(XXLサイズ)では、KBAのRapida 205(1510mm×2050mm)、マン・ローランドの900XXL(1300mm×1850mm)などが威容を放っていた。中型機では、あいかわらず日本勢の存在感が大きい。 有力メーカーはそろってJDF対応をうたい、JDFベースのワークフローシステムによる駆動をアピールしていた。CTPシステムとの連携などプリプレスからポストプレスにわたるフローで見せる展示が目立ち、機械単体の機能だけでは勝負できない時代が来たことを実感させた。 クロスプラットホームの時代へ 注目される最近の技術トレンドに、クレオなどが提唱するハイブリッドワークフローがある。 同社はゼロックスとの共同作業でワークフロー管理システムPrinergyを拡張し、オフセット印刷とデジタル印刷を区別しない方式を開発して、今回のdrupa展で発表した。この仕組みでは、オフセット用のシステムであるPrinergyが管理するジョブをゼロックスのDocuColorに投げることができ、ユーザー(印刷会社)は最終出力先をCTP/オフセットにするかDocuColorにするかをあらかじめ決めずに、前工程を進行させることができる。 またクレオは、特色をプロセスカラーに(たとえば、6色印刷を4色印刷に)置き換えるソフトウェアSpotlessも発表した。これはオフセット印刷内部でのデータ変換技術であるが、原理的にはハイブリッドワークフローそのものである。 JDFによる工程のオープン化やハイブリッドワークフローの動きは、印刷工程全般にわたる「クロスプラットホーム」時代の到来を予感させる。 DTPやプログラミングの世界で言うクロスプラットホームは、Macで処理してもWindowsを使っても同じ結果が得られるというほどの意味だが、これが印刷工程全般で進んで行くと、印刷ビジネスのあり方にも影響する。遠隔地に置いたカラーマネジメントシステムとオフセット機とデジタル印刷機が、デジタル回線や無線で結ばれている状態が普通になれば、印刷物の配布や出版にもこれまで以上のバリエーションが生まれるだろう。 SOHOなどの形態で働く人が増えたり、コンビニが印刷物の受発注や配布のステーションになるなど、印刷や出版の供給者側のあり方が多様化する一方、どこの家庭にもオフィスにもプリンターがあり、インターネットにつながっているなど需要者(読者)側の環境も昔と大きく変わっている。印刷会社のオフセット印刷機、書店のオンデマンド出版機、コンビニの複写機、家庭のインクジェットプリンター、これらの出力機を同列に見なすようなクロスプラットホームの時代が近づきつつあるのではないか。 |
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