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祐生展を終えて 森岡 紘子 (東京芸大声楽科) 銀座・伊東屋ギャラリーで開催された「孔版画に生きた板祐生の世界」展に、スタッフとして参加した森岡さんの感想です。先にまとまった「平成11年度祐生出会いの館活動報告書」から転載しました。(2000.9.8) 今回祐生展のお手伝いをさせて頂き、短い間でしたが祐生の世界に触れ、心満たされる時間(とき)を過ごすことができました。祐生に関する知識や孔版画、コレクションなどについてのそれは十日やそこらでどうにかなるものではありませんでしたが、祐生の世界を体いっぱいに感じました。 私が祐生の作品、コレクションに触れたのは、小中学生の頃に二回だけです。ただ、その印象が強かったことを覚えています。中央公民館の一室にぎっしり詰まったコレクションを見て、宝物を見つけたように胸がドキドキと高鳴ったこと。緑水湖の辺(ほとり)の記念館に並んだ作品がとてもきれいで思わず手を伸ばしそうになったこと。 そして成人した私が触れた祐生の世界は、私に今までにない印象を与えてくれました。上京し、望郷の念を持ち続ける私を、祐生の世界は温かく優しく包み込んでくれたのです。あまりに温かくて涙が滲みました。祐生の作品は素朴ですが斬新なところもあり、ハッとさせられます。しかし、一番感じるのは懐かしさであり、思わず口元がほころんでしまいます。コレクションも、古いものでありながら、今の時代にはより新鮮に映ります。とにかく、祐生の温かく優しい世界は、私の心を潤してくれました。それは私に限ったことではなく、祐生展のお客様の表情を伺ううちに、祐生の世界が多くの人の心を豊かにしていることが分かりました。 祐生記念館は「祐生出会いの館」と命名されていますが、今回銀座での祐生展に携わった方、お客様、色々な出会いがありました。人との出会いというのは貴重な財産だと思います。大切にしたいと思います。 温かく優しい心は、誰をも安らかにしてくれます。しかしその心を守には厳しさも強さも必要です。それが祐生の世界だと思います。どのように活かされるかは分かりませんが、心満たされた祐生の世界に感謝しています。 |
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