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株式会社ショーワ社長
幅 和弘 SHOWA NEWS No.88 2000年3月22日号より 3月の初めに、広島でリョービ代理店総会がありました。 総会後の懇親会の席であいさつを求められ、たぶん失礼にはあたらなかったと思いますが、「これほど立派なメーカーになるとは思わなかった」と申し上げました。この総会は、今度完成した広島東新工場のお披露目を兼ねたもので、新工場を見学しての正直な感想がこれだったのです。 工場見学でまず感慨深かったのが、入口近くのホールに、リョービの印刷機部門創設期の機械が、アクリルのケースに収められて展示されていたことです。ショーワがリョービオフセットの代理店となったのは1969年でしたが、私自身も入社間もない頃で、ホールに飾られていた初期のB4タテ通しの小型オフは、営業に保守にと駆け回った思い出の深い機種です。同行の代理店の人も言っていましたが、いろいろ苦労の多かった機械で、メーカーとしてもかなりの苦労があったのではないかと思います。それから30年余りを経て、68シリーズのようなハイスペックマシンを世界の市場で売りまくるメーカーに成長するとは、当時は想像もできないことでした。 新工場で68シリーズから4色機から、ニスコーターのついた5色機、6色機が、10台ずつ4列に並んで作られているのは、壮観でした。 A3機の工場の製造現場も、いろいろ刺激され、考えさせられました。かつてのスタイルと大きく変わったのは、ラインがなくなっていたことです。最近は自動車メーカーの工場などもラインをなくして、同じフロアにクーペもセダンも一緒に並べて、個人やグループの責任で1台ずつ仕上げているそうですが、今度のリョービさんの新工場でもラインは一掃され、両面機から多色機まで同じフロアで組み立てられていました。 こうしたラインからフロアへの移行については、機種の多様化があります。新しい機種の開発サイクルも速く、そのつどラインを組んでいたのでは追いつかないという事情があるわけです。 フロアを歩き回っているうちに、単色機のないことに気付きました。いろんな機種が入り交じって作られている中で、そのほとんどは2色機、最低でも両面単色機であり、片面単色機は見かけません。聞けば、いまや片面単色機は注文生産になっているとのこと。時代の流れを実感しました。 これで思い出すのが、欧米とくにアメリカでは単色機の時代が終わり、スポットカラーをはじめとする簡易カラーが市場の流れになっていると、早くからリョービさんが訴えていたことです。われわれディーラーは、そのような流れがなかなか飲み込めず、市場の開拓・形成を怠ったのではないかと反省させられたところです。 これにかぎらず、代理店総会のたびにメーカーとしてシグナルを出し続けてきてくれたのに、われわれの取り組みが遅れ勝ちで、メーカーがひとり力を尽くして市場を切り開いてきたといえます。今回の新工場見学では、そのことを目に見える形で納得させられました。 現在リョービの取り組んでいるプロジェクトに、1,000万円台でカラーができるシステムの開発があります。具体的には、半自動版替え装置と自動インキング装置の付いたA3タテ通し2色機ということで、今年のドルッパに出品されます。ショーワとしても商品ラインアップの軸にしたいクラスです。 同じくドルッパで68シリーズの新機種がデビューします。菊半裁、片面4色、片面1色で、毎時15,000枚の高速を実現したすばらしい機械です。世界市場での成功を祈るとともに、われわれも微力ながら国内市場の開拓につとめたいと考えます。 最後になりましたが、お客様各位にご賛同いただいて発足しますショーワ購買会では、このリョービ新工場の見学を兼ねて発会式を広島で行うこととなりました。ぜひ多数様のご参加をいただき、時代を先駆ける新工場を目の当たりに味わっていただくようお勧めいたします。 |
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