前々回・前回で、ChatGPTの魅力・可能性・注意点・気になる点などをご説明しました。もちろん、新しい技術であるChatGPTを「落ち着くまで使わない」というスタンスを取ることも可能です。しかし、大きな可能性があって日々進化している技術なので、ブライター・レイターとしては「無理のない範囲で使ってみて理解を深める」ことをオススメします。
ところで、企業に先んじて大学がこの春に次々とChatGPTなどAIツールを利用する際のガイドラインを発表しています。この背景について、例えば、樺山祐和 武蔵野美術大学長は以下のように説明しています:
大学は「学び」の場です。授業である講義、演習、実習、そして自身の制作・研究活動まで全てにおいて「学び」が重要です。新しい技術である生成AIをこの「学び」にどのように取り込むか。クリエイティブについて考え、制作・研究することを旨とする武蔵野美術大学の学生や教職員が、生成AIに対する向き合い方をみなさん自身で考えなくてはいけない時期に立っています。
出所)武蔵野美術大学長からのメッセージ(2023年5月11日)
そして、樺山学長は以下のようなガイドラインも示しています:
身近なツールとなってきた生成AIを、まずは自分の目で確かめてみよう。
・身近なツールとなってきた生成AIを、まずは自分の目で確かめてみよう。
・生成AIの問題や可能性についてより深く考えていこう。
・個人情報や機密情報、また悪意のある内容の入力は絶対にしてはいけません。
・レポートや論文に、生成AIの回答をそのまま用いて提出することを禁止します。
・生成AIを引用するときは出典として明記してください。
・生成AIの回答をそのまま「自分の作品(自作)」として提出することを禁止します。
また、東京大学は「教育方法を設計・検討するにあたり言語生成系AIについて知ってもらいたい事項、現時点での考え方」を以下のようにまとめています:
1.自分がこれまで課してきた課題や試験などを題材にChatGPT、BingAI、Bardなどの言語生成系AIに答えさせ、そのレベルを感じておく
2.授業や課題ごとに、言語生成系AI利用に対する教員のスタンスを明示する
3.課題の目的、学生にとっての達成目標、成長目標を学生に伝える。得られた結果ではなく解答を得る過程が重要であることを説く
4.実践可能な範囲で、言語生成系AIによって安易に解答が得られない課題・出題形式を検討する
5.AIによって生成された文章であるかの検出ツールは過信しない
出所)東京大学「AIツールの授業における利用について(ver. 1.0)」
両校のガイドラインに共通するのは、「まず使ってみて、生成AIレベル感を把握する」こと。その上で、武蔵野美術大学は「生成結果」の使い方について、東京大学は「道具」として意識・利用することについて、注意を促しています。
これらのガイドラインは、印刷会社が「無理のない範囲で使ってみて理解を深める」際にも大いに参考になります。他の大学などでもガイドラインは示されていますし、今後は自治体や企業でも策定・発表されていくでしょう。技術面に加えてこうした運用面の動向にも注意を払うことで、ChatGPTを正しく恐れつつ、自社としての向き合い方・取り組み方を見つけましょう!
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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