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山口昌男氏、板祐生調査に来町
日本海新聞社
(「日本海新聞」2000年7月22日号記事を、同紙の許可を得て転載しました)

「道化的世界」や「敗者学のすすめ」などユニークな著作で知られる文化人類学者の山口昌男氏(札幌大学学長)が、孔版画家で郷土玩具コレクターの板祐生を調査するため十九日から二十一日まで西伯町を訪れた。
同町下中谷の「祐生出会いの館」で、祐生の作品やコレクションに触れた山口氏は「作品は第一級の水準にあり、コレクターとして他に例がない」と趣味人・祐生の比類のなさを称賛した。
山口氏は北海道出身だが、父親は倉吉市の生まれ。先日亡くなった写真家の植田正治氏とも親交があるなど、鳥取県とはゆかりが深い。今年一月、西伯町が東京・銀座で開いた板祐生の展覧会に足を運んで以来、強い関心を持ち、はるばる同町を訪れた。
山口氏は祐生について「山陰の地から動かないで、これだけスケールの大きな仕事をしたことに興味を持つ」と話し、その作品を「孔版というガリ版の技術をこれだけ華やかな色のメディアとして完成させたことは並みではない。江戸時代と比べても作品は第一級の水準にあり、画家として全国的に知られても不思議でなかった」と高く評価。
膨大なコレクションについても「一つ一つが断片であるけれども、時代の感受性を再構成しながらつなげていくと、失われた時代がどんどんよみがえってくる。ガラクタであろうと、組み合わせ、編集がうまければ黄金の宝物。紙の文化の最高の水準の残し方をしている」と感心していた。
山口氏は、今年五月に開かれた日本記号学会の趣味人をテーマにした基調講演で祐生を紹介。近く出版する本に、今回の調査をもとに、祐生の一章を設けるという。
●SHOWA HP