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ガリ版ネットワーク日誌 [2003年4月]


4月2日
ガリ版ネットワーク第4期がスタートした。1994年秋に誕生したネットワークは、来年の秋には10周年を迎える。出発時には、類のないガリ版愛好家の会の将来がまったく見えなかったこともあり、共同主宰の田上正子さんと相談して、「まず2年間だけやってみよう。取りあえず第1期と呼ぼう」ということになったのである。9年目にして4期と計算が合わないのは、2期と3期の間に、活動は細々と続けてきたが若干の空白期があったためである。第4期は、約100会員規模で始まり、本日、「通信」20号と春の器材頒布のための「在庫リスト」を送り終えたところである。
若葉の季節が始まった。当地では、サクラが満開に。ドロヤナギの新緑が目にしみる。

4月某日
史料として武井武雄刊本(親類の会と呼んだ300会員に向けて、多様な版式、技法を駆使した139冊を刊行)の1冊を入手した。「六の助行状」(昭和33年制作)は美しい孔版本(ヤスリ製版、多色刷り)である。奥付には「若山八十氏製版調整」の文字が刻まれていることから、製版、印刷は若山の手になったものと思われる。(刊本は、武井作品を所蔵、展示する岡谷のイルフ童画館でみられる。)

4月某日
2日つづきで福井良之助について2つの美術館から問い合わせがあった。著名な洋画家である福井は青年期(1950〜60年)に孔版画を制作したことでも知られる。この2館で福井関連の企画展実施の計画があるそうだ。岩手県立美術館からは、孔版画実演のできる版画家の紹介を、佐倉市立美術館からは、福井の年譜に関わる孔版制作との接点や制作時期などについての質問があった。(岩手県立美術館へは、ネットワーク会員である版画家須永高広さんを紹介、9月に孔版画をつくるワークショップが開催され、佐倉市美術館の企画展は2005年に開催とのことであった。)

4月某日
「謄写印刷をやってみたい。そちらに道具はありますか」などの問い合わせが、島根、大阪、東京からあり、ネットワーク資料を送るがリアクションなし。「おもしろそう、ちょっと聞いてみよう」から「やってみよう」までの距離は確実に遠くなっているのだと思う。

4月某日
明石市で謄写印刷店「アンドー、トーシャ」を経営する安藤信義さん(ガリ版を守る会・灯台守)が『21世紀ワタシ再発見』(ガリ版刷り、B5判 164ページ)を刊行。安藤さんに乞われて寄稿したネットワーク会員の名もみえる。本間吉郎、後藤卓也、はぎわらようこ、北浦満治、三木敏正、川野美和、太田省三さんなど。志村の「ラオス製謄写版全小学校普及へ」は、「理想の詩」に掲載の再録である。164ページ。労作である。
(事務局・志村章子)
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