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ガリ版ネットワーク日誌 [2002年3月]


3月某日
祐生出会いの館では、孔版画家板祐生(いた・ゆうせい)使用の毛筆謄写版を公開中とのこと。大正13〜14年発行の『江戸紫』(8号まで?)、大正14年〜昭和9年発行の私家本『富士乃屋草紙』(39冊)には毛筆謄写版と鉄筆謄写版の両方が用いられている。展示中の毛筆謄写版は、祐生資料の中から発見された。こんなに状態のいい毛筆謄写版はめったに見られない。今では珍品の類であろう。昭和4年ころ、『富士乃屋草紙』の表紙や口絵に使用したことは、毛筆版に刷り損じが残っていたことでも証明できる。

3月某日
若山八十氏作品の多くが、町田市立国際版画美術館に所蔵されている。国立国際美術館(大阪・吹田市)では、若山版画の電子化の動きがあるという。孔版画のパイオニアとしても、孔版作家としての評価も高いが、まとまった作品展は、1986年に銀座・文芸春秋画廊で開催の「若山八十氏遺作展」しか思い浮かばない。残念なことである。

(事務局・志村章子)
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