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ガリ版ネットワーク日誌 [2001年4月]


4月某日
今月から「ガリ版ネットワーク」第3期始動。3月から準備を進めてきたが、「通信」と「器材頒布」を定期化するというごくシンプルなものである。ところが、それがなかなか難しく、第2期はずるずると3年余りに及んだ。
きょうは、会員の北浦満治さんからガリ版刷りの「第3期申し込み書」が、明石市の「アンドー、トーシャ」からは「通信」(第1号)の校正ゲラが届いた。校正ゲラは、黒ベタに文字白ヌキのものである。前々からこのような校正紙をどうやって作るのだろうと悩んで(?)いて、安藤さんに聞いてみた。
「コピー機のフタを開けたままにして製版した原紙を置き、上に黒い紙をかぶせればよろしい」
とのことだった。種あかしをしてもらえば、がっかりするほど簡単なことであった。安藤さんが考え出した方法だという。

4月某日
3月下旬に開花したサクラは、とうに盛りをすぎ、強い春風に巨体をゆすって花を散らしている。2日間かけて会員名簿の整理を行う。転居先不明者、病没者、転居者の新住所の書きうつしなど。第2期会員(個人、グループ、企業、団体)は251であった。この数字は多いのか、少ないのかはわからないけど、251のガリ版との接点があることはたしかである。

4月某日
第1期会員だった方から電話があった。
「ガリ版器材を頒けてもらったが、もう使わないので、引き取ってほしい」
とのこと。数例だが、一度も使用せずに帰ってきた器材もあった。
不要だからと送ってくれる人、器材を必死に求める人、器材を入手したものの、その機会を持てなかった人等々。ガリ版ネットワークは「橋」のような存在だと思う。ガリ版を通じて、さまざまな人と出会い、去っていく人もいる。

4月某日
松本市の謄写版伝承委員会事務局長の柳沢さんから電話をいただいた。
「来春(2月)、赤羽さん没後10年のイベント(会場・同市民俗資料館)が開催される」
とのこと。熊本の佐藤勝英さんの実演も予定されているそうである。もう10年になるのか。
草間京平直伝の謄写印刷技術者であった赤羽藤一郎は、晩年、謄写版博物館建設運動に力を尽くしたが、志半ばで病をえて亡くなった。その後は、地元協力者を中心に志が受けつがれ、収集資料、作品等は松本氏に寄贈され、教育博物館として知られる旧開智学校の一室にも常設展示されている。赤羽の最晩年の弟子が、孔版で浮世絵復刻作品を制作する佐藤勝英さん(本会・会員)である。
来春は、久しぶりに佐藤さんや伝承委員会の宮澤、柳沢、藤野力さんらと赤羽さんの思い出やガリ版談義に花を咲かせるのが楽しみである。

(2001年10月3日、事務局・志村章子)
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