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ガリ版ネットワーク5年間 [94年9月-99年8月] の歩み 発足まで 1994年6月、謄写版誕生100年を記念したイベント「ガリ版の100年---等身大のコミュニケーションツール」が東京経済大学の主催で行われ、4日間の会期中に1000人を超える来場者があった。 このイベント開催のニュースはマスコミでも広く取り上げられたため、「器材がほしいが、どうしたらよいか」という相談が多数寄せられたり、大学事務局に中古器材が送られてきたり、不用の機資材を持ち込む来場者などがあった。 『ガリ版文化史』などで謄写印刷の歴史を追ってきた志村章子、10年以上にわたって謄写版によるミニコミ誌を発行してきた田上正子の二人は、こうした動きから器材や情報の流通の必要を痛感し、その夏をかけてネットワークの構想を練った。 発足 器材、資材、関連情報の収集・配布と謄写印刷関連資料の収集・保存を目的とする「ガリ版〈器材と情報〉ネットワーク」参加の呼びかけは、「ガリ版の100年」の来場者あてに9月に発送され、約50名が参加してネットワークが発足した。 ネットワークの成否が見通せないため、活動期間を2年間(94年10月-96年9月)に限定し、その後のことは改めて検討することとした。 第1期 第1期の2年間でガリ版ネットワークに届けられた機資材は84件(個人、団体)、ダンボール箱で計153個に達した。器材、消耗品のほか、技術解説書も。うち、「近代孔版技術講座」1〜3を発行元の許可を得て30セット復刻。 これら器材などを購入した会員は延べ130名。 この間、会報「ガリ版ネットワーク通信」を季刊で8号まで発行。 第2期 第1期終了後、半年の検討期間をおいて、今期も2年間の予定で97年4月スタート。当初会員は100名余、期末の99年3月現在212名。 スタートにあたって、前期の経験から、無理なく継続できるよう会報の発行と機資材の発送を年2回とした。なお会報は、予定通り4号まで発行したほか、期間中の活動報告のため第5号を発行した。また、ガリ版ネットワークの今後を検討するため第6号の発行を予定している。 このような経過で、予定の活動期間は終了したが、ネットワーク自体は存続して、今後のありかたを模索中。 この期間中、器材倉庫として使用してきた田上宅が改築のため使用できなくなり、志村宅もすでに無理が生じていたため、種々検討の結果、ネットワーク会員の後藤卓也が事務局長をつとめる「山形謄写印刷資料館」で預かることとし、99年2月に移送した。 「ガリ版展98」の開催 第2期中のビッグイベントに「ガリ版展98」の開催があった。 この展示会は97年11月に発足した委員会を中心に準備が進められ、98年4月21日から26日まで、東京・谷中の画廊「すぺーす小倉屋」で開催された。 内容は、孔版画家の作品展「現代孔版作家展」、謄写印刷100年の歴史を実物とパネルでたどる「ガリ版の百年」、国内外にわたる謄写印刷の活躍を紹介する「現代ガリ版の部屋」、来場者の懇談などにあてた「交流の部屋」、作品・資料などを頒布した「Shopガリ版」など。「交流の部屋」では、孔版画家による技術講習も行われた。 期間中の来場者は1200名で、北海道から九州までの各地、および海外からも若干名の訪問があった。 会員の協力などで用意したPR資料は、ハガキ1000枚、チラシ3500枚、ポスター400枚、マスコミ向け文書など。これらのPR活動の結果、マスコミの記事掲載、放映等は30件余に達した。また、ミニコミ、口コミによる宣伝効果も大きなものがあった。 「ガリ版展98」は、謄写印刷に関する一般の理解を深めると同時に、ガリ版ネットワークの存在をPRする機会ともなり、また実現に向けて多数の会員が協力し、親交を深めあうなど、意義の大きな催しであった。 (敬称略、99.8.19、JS記)
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