drupa2024レビュー!. . . (3)スマートファクトリー

世界的に印刷業界は人材不足で、drupa2024でもスマートファクトリー関連の展示は大きな注目を集めていました。特に、「機材間連携」による自動化・効率化の提案が様々なブースで見られました。

 

例えば、「印刷機と後加工機の連携」による自動化・効率化。会場では、前回の記事でご紹介したSCREEN GA Truepress JET 560HDXやコダック PROSPER ULTRA 520 といった商業印刷向け輪転インクジェット機が、後加工機とインライン接続されていました。また、枚葉インクジェット機やトナー機と後加工機がインライン接続されたシステムも、様々なブースに展示されていました。

 

ホリゾンやデュプロ、フンケラー(スイス)など後加工機メーカーのブースでは、「同じメーカの後加工機間連携」や「異なるメーカの後加工機間連携」などが提案されていました。その中には、協業ロボットが使われていたものも多数見受けられました。

 

 

 

 

その協業ロボット、今回のdrupaでは様々な機能を持つものが紹介されていました。例えば、成果物などのパレタイジング(パレットへの積載)をする協業ロボット。小森コーポレーショングループの後加工機メーカーMBO社のブースではMBO Cobo-Stack 10iというパレタイジングソリューションの展示・デモが行われていました。

 

 

 

 

後加工機間をつなぐソリューションとして、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)も提案されていました。ホリゾンブースでは、パレタイズされた折丁を折り機から無線綴じシステムまでAGVで搬送するデモ、コニカミノルタブースではAMRによる印刷用紙の配送自動化システムのデモが行われました。このコニカミノルタのAMRには、同社の画像IoTプラットフォームFORXAI(フォーサイ)が活用されています。

 

 

 

 

他にも、多様な協業ロボットが展示されていました。富士フイルムブースでは、B2サイズ乾式トナー機 Revoria Press GC12500 で印刷された(写真作品が9面付けされた)B2サイズ用紙を、作業前に「枚数を数える」、作業する枚数を「ジョガー(紙揃え装置)に積む」、「ジョガーから断裁機に積み替えてセットする」「9枚に断裁する」「断裁した写真作品を棚に移す」といった一連の作業を、複数のロボットを組み合わせて全自動したシステムが紹介されました。

 

 

 

 

筆者が最も注目したスマートファクトリー関連の展示は「ダッシュボード」でした。ダッシュボードは、機材の稼働状況やジョブの進捗状況などを見える化して、工場以外の場所からでも把握できるようにするツールで、工場の全体最適化に大きく貢献します。

 

今回、オフセット印刷機メーカーやデジタル印刷機メーカーに加えて、たくさんの後加工機メーカーのブースでも、ダッシュボードの展示・デモが行われていました。これは、印刷機だけでなく後加工機のIoT化も着々と進んでいることを示しています。

 

今回は「見える化」が中心でしたが、今後、様々な印刷機材から収集・分析したデータを工場のさらなるスマート化などにどう活用していくのか。ダッシュボードからdrupa2028にも繋がる未来が伺えて、とても刺激を受けました。

 

 

 

 

次回は、ペーパーレス化に対抗する武器となる、drupa2024会場で見つけた「印刷物の魅力・価値を高める機材やソリューションなど」をご紹介します。お楽しみに!

 

 

ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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