drupa2024会場では、ペーパーレス化の中でも「どうしても」「わざわざ」つくりたくなる・使いたくなるような、印刷物の魅力・価値を高める機材やソリューションも多くのブースで紹介されていました。
例えば、加飾用の機材やソリューション。Scodix社(イスラエル)ブースでは、Ultra 6500 SHD(B1サイズ機, 最大加工速度 毎時1,310枚)、Ultra 2500 SHD(B2サイズ機, 最大加工速度 毎時1,446枚)という2機種のデジタル加飾機が提案されていました。
これらを使うことで、透明な基材に加飾する「Transparent」や彫刻のように立体的な加飾ができる「Sculpture」といった新しいもの(6種類)を含む、計16種類のアプリケーション(加飾の種類)を実現できます。ブースには、同社製品でデジタル加飾が施されたサンプルが展示・配布されていて、大きな注目を集めていました。
コニカミノルタは、MGI alphaJET(B1サイズ機)、MGI JETvarnish 3D EVO(B1サイズ機)、MGI JET varnish 3D Web 400(輪転機)といったデジタル加飾機の展示・デモを行なっていました。MGI alphaJETは、水性インクジェット印刷(解像度 1600 x 1600dpi)・UVニス加工・箔押しをワンパスでできるデジタル印刷・加飾システムで、今回のdrupaが初の動態フルシステム展示でした。
MGI JET varnish 3D Web 400は輪転タイプのデジタル加飾機で、最大加工速度 毎分42m、最大用紙幅 420mmとなっています。様々なユニットを組み合わせることができ、今回は「フレキソ印刷」「UVニス加工」「箔押し」「ダイカッター」などが組み合わされたシステムが展示されていました。このシステムを使って、AccurioLabel400で印刷したラベルに加飾・加工するデモが行われました。
他にも、レーザーカッターを使ったデジタル加飾やTシャツへの箔押し(Foil DTF)など、様々な加飾向け機材やソリューションが紹介されていました。
drupa会場には、生成AIを活用して魅力的な印刷物を提供するサービスも紹介されていました。フォトグッズなどを生産・販売するシステムを企業向けに提供するPrintbox社(ポーランド)の「Masterpiece AI」は、文章からイメージを生成する「Text to Image」というAIを使ったサービスです。利用者はこのAIで生成したイメージを使って、マグカップやスマートフォンケース、キャンバスプリントなどのフォトグッズを制作できます(2023年6月サービス開始)。
富士フイルムブースには、Fotofabriek社(オランダ)が生成AIを使って制作した絵本が展示されていました。これは、富士フイルムビジネスイノベーションが主催するイノベーション・プリント・アワード2024受賞作品のひとつです(Use of Technology部門)。ユーザーは、好きなストーリーを選び、興味があること・好きなことといった情報を追加、写真をアップロードすると、AIが世界でひとつの絵本を生成します。
他にも、印刷物のセキュリティを高めるソリューションや、RFID/ NFCが貼り込まれた印刷物とウェブサービスを連携させるソリューションなど、様々な印刷物の魅力・価値を高める機材やソリューションが提案されていました。なお、このRFID/ NFCを活用したソリューションは、ドイツの印刷会社の新規事業でした。
drupa2024で提案された数多くの印刷物の魅力・価値を高める機材やソリューションを見ると、売上・利益を伸ばせる余地はまだまだたくさんあることが分かります。印刷物の魅力や価値を高めることで、ペーパーレス化の荒波にマケズ、大きく成長しましょう!次回は、サステナビリティ関連の展示をご紹介します。お楽しみに!
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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