ワクチンパスポートの国内利用について

 「新型コロナワクチン接種証明書」(いわゆる『ワクチンパスポート』)の受付が、今年7月26日から各市町村(特別区を含む)において開始されました。これは、海外の渡航先への入国時に相手国等が防疫措置の緩和等を判断する上で活用される、公的な接種証明書になります。

 このワクチンパスポート、日常生活や社会経済活動の回復を目的とした国内利用も検討されています。さて、国内でも利用されるのでしょうか。また、どのように利用されるのでしょうか。前回の記事でご紹介した「リベンジ消費」を後押ししたりするのでしょうか。

 ニッセイ基礎研究所が7月20日に発表した「「第5回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」調査結果概要(調査期間:2021年7月5日〜7日)によれば、回答者の55.6%がワクチンパスポートの国内利用に肯定的でした。ただ、そのうち30.6%が「国内でも利用していくと良いが、活用対象については慎重に検討した方が良い」と回答しています。

 
Roland
 

 また、ワクチンパスポートの利用方法については、以下のような項目で利用積極層が多くなっています(利用積極層:「ワクチンを接種して、ぜひ利用したい」「ワクチン接種して、機会があれば利用したい」の合計)

 * 飲食代金や利用料の割引、ポイントの割増が受けられる(49.9%)
 * 介護施設や医療機関での面会制限が緩和され、直接会えるようになる(43.8%)

 一方、以下のような項目では利用消極・反対層が多くなっています(利用消極・反対層:「ワクチンを接種しても、あまり利用したくない」「ワクチンを接種しても、利用したくない」「こうした利用方法は認めるべきではない」の合計):

 * 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間中、対象地域でも国内旅行などのツアーに参加できるようになる(27.7%)
 * 会場や施設等の入場者数の制限が緩和された保有者限定のイベントが開催される(26.9%)
 * 保有者限定のキャンペーンに参加できる(25.8%)
 * イベント会場、施設等への入場時に専用レーンが開設される(25.3%)

 
 Roland
  

 この調査結果から見ると、ワクチンパスポートは国内でも利用されそうですが、まずは「介護施設や医療機関に入っている家族と会う」といったことから始まりそうです。「旅行」「みんなで集まって会食する」といったリベンジ消費的な使われ方は、すぐには難しそうです。

 とはいっても、今後議論が進むにつれて(また、諸外国での国内活用事例が増えるにつれて)利用方法は増えていくでしょう。ワクチンパスポートは、消費を盛り上げるツールのひとつです。ワクチンパスポートの国内利用動向も視野に入れつつ、コロナを乗り越えて、売上・利益を伸ばす施策をどんどん企画・実践しましょう!

 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
ブログへのリンク:Brighter Later Blog