キヤノンの輪転インクジェット機 新製品: ミヤコシ MJP20AXS

2019年10月31日、キヤノンマーケティングジャパンとキヤノンプロダクションプリンティングシステムズ(キヤノンPPS)は、フルカラー輪転インクジェット機の新製品「ミヤコシ MJP20AXS」を今年12月から販売することを発表しました。

 

 

MJP20AXSは4色機で、解像度1200 x 1200 dpi、最大印刷速度100m/分、オフセットコート紙にアンカーコートなしで印刷できます。ヘッドの乾燥・詰まりはインクジェット機の大きな課題ですが、これを防ぐ新技術も搭載されています。

そのひとつが新しい「インク供給システム」です。これは、常にインクタンクからノズル近傍までのインクを動かすことで、ヘッドの乾燥・詰まりを防ぐシステムです。また、K(墨)用のヘッドをCMY用と独立して制御する新技術により、モノクロ印刷時にCMY用ヘッドを(乾燥しないよう)待機ポジションにしておくこともできます。

MJP20AXSのジョブコンソールはキヤノンPPSが新開発したもので、これを活用することで印刷ワークフローの自動化をさらに進められます。例えば、印刷ジョブ登録の自動化。ホットフォルダーに印刷設定(印刷サイズ・カラープロファイル・トンボ付加など)を紐付けしておくことで、そこに投入される印刷ファイルに設定が自動適用されます。また、コンソールを通じて検査機・後加工機との連携を自動化することもできます(注:これは「相談の上開発」するオプションになります)。

 

 

この機種のターゲットとして、「現在はデータプリントの仕事が中心ですが、商業印刷や学参物など仕事の幅を広げることを考えている印刷会社」が想定されています。そのため、発表会場にはパンフレットや冊子、DM、参考書、カレンダー、文庫本など様々な印刷サンプルが紹介されていました。

 

 

ところで、印刷速度145m/分(解像度1200 x 840 dpi)のオプションを開発中との発表もありました。前回(2016年)のdrupa以降、フルカラー輪転インクジェット機では「高解像度化(1200 x 1200 dpiが標準に)」や「用紙対応性向上(オフセットコート紙にアンカーコートなしで印刷可能)」といった点で進化してきました。

来年6月に開催されるdrupa2020でも、様々なブースでフルカラー輪転インクジェット機が提案されることが見込まれます。それらの機種では「高速化」がアピールポイントになっているかもしれません。引き続き、インクジェット機の進化に注目しましょう!

 
 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
ブログへのリンク:Brighter Later Blog