「2022年 日本の広告費」分析: 2)インターネット広告費

 前回見たように、2022年の国内総広告費は過去最高を記録しましたが、それを牽引したのはインターネット広告費でした。

 電通「2022年 日本の広告費」によれば、インターネット広告費はコロナ禍でも毎年大きく増加し、2022年は3兆912億円に達しました(前年比14%増)。これは、コロナ禍前(2019年)の約1.5倍の規模です。広告費全体に占める構成比もコロナ禍前の30%から毎年増加し、2022年は44%になりました。この伸び方を見ると、今後数年のうちにインターネット広告費が総広告費の半分以上を占めることが見込まれます。

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 そのインターネット広告費、80%はインターネット広告媒体費、14%はインターネット広告制作費、6%が物販系ECプラットフォーム広告費となっています。また、電通「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、インターネット広告媒体費(2022年)の構成比は、検索連動型広告 39%、ディスプレイ広告 30%、ビデオ(動画)広告 24%で、この3種類で93%を占めています。

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 ところで、2019年時点では(DMや折込広告などを含む)プロモーションメディア広告費(2兆2,239億円)はインターネット広告費(2兆1,048億円)を上回っていました。しかし、コロナ禍でプロモーションメディア広告費が減少した一方、インターネット広告費は増加しました。その結果2020年に逆転、その後は毎年差が開いていき、2022年にはインターネット広告費はプロモーションメディア広告費の約2倍の規模となりました。

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 また、プロモーションメディア広告費で最も大きなものはダイレクト・メール(DM, 3,381億)ですが、検索連動型広告(9,766億円)はDMの2.9倍、ディスプレイ広告(7,372億円)は2.2倍、ビデオ(動画)広告(5,920億円)は1.8倍の規模となっています。こうした状況からも、印刷物をインターネット広告と効果的・効率的に連携させる手法の進化/深化が、ますます求められていることが分かります。

 次回は、商業印刷市場・DM制作関連市場・ポスティング市場といった、日本の広告費には含まれない「その他、広告関連市場」を分析します。

 
 
 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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