生成AIで制作されるコンテンツの品質が高まるに連れて、活用される分野も着々と広まっています。例えば、デザイン誌 AXIS は、2024年2月号(Vol. 227)の表紙に生成AIで作成した「架空のデザイナー」の画像が使われています。どう見ても「人」ですが、この生成画像にはフォトショップなどでの加工は一切されていません。
広告の分野では、パルコが2023年の年末に展開した「HAPPY HOLIDAYS キャンペーン」で、生成AIで制作された広告(ポスター、動画など)が使われました。人物から背景に至るまでプロンプトから構成していて、映像に使用されたナレーションや音楽も全て生成AIで作成されています。
選挙の分野では、有権者を混乱させる使われ方が先行しているようです。今年は米国大統領選がありますが(投票日:2024年11月15日)、その予備選で民主党候補者 ディーン・フィリップス氏をモデルにした対話型AI(Dean.bot)が開発・使用されました。
この対話型AIはOpenAI社の生成AI ChatGPT の技術を使ったものでしたが、OpenAI社のガイドラインに基づいてDean.botを開発した企業のアカウントが停止されました(2024年1月19日)。これを受けて、この企業は Dean.bot を削除しました。
1月23日の大統領選予備選を前に、バイデン米国大統領を装った偽の自動音声電話による妨害工作も行われました。生成AIを使えば比較的簡単に偽音声や偽画像が制作できるので、(日本を含めた)他の国の選挙でもこうした干渉が行われることが懸念されています。
印刷会社が生成AIをサービスに取り込むためには、「生成AIで何ができるか」に加えて「生成AIをどう使うか」にも目を配ることが求められそうです。AXISやパルコの事例でも、最初から「AIを活用してます!」と明言することで最先端感を出しつつ、生成AIに関する批判や議論に巻き込まれないよう予防線を張っているように思えます。
ぜひ、生成AIの使い方への理解もどんどん深めて、売上・利益を伸ばしましょう!
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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