大手印刷会社が想定する今年度の印刷市場トレンド

2021年3月期の第1四半期(4月〜6月)決算発表にあわせて、上場している大手印刷会社各社は「2021年3月期業績予想」を発表しました。各社資料によれば、今年度(2021年3月期)の売り上げは昨年度(2020年3月期)と比べて3%〜6%の減少を予想しています。
 

 
共同印刷について事業別にみると、商業印刷・出版印刷を担当する「情報コミュニケーション部門」やICカード・BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などを担当する「情報セキュリティ部門」では、10%程度の減少が予想されています。これに対して、パッケージなど担当する「生活・産業資材部門」は10%程度の増加が見込まれています。また、トッパン・フォームズのデータプリントサービス・BPO・ビジネスフォームなどを担当する「データ&ドキュメント事業」は3%減を予想しています。
 
では、各社はどんなシナリオでこうした売上高を予想したのでしょうか?発表資料に書かれている市場トレンドシナリオを以下に一部ご紹介いたします。コロナを受けて事業計画の見直しをされている皆様のご参考になれば幸いです。
 
 
商業印刷・出版印刷市場:
  ・イベントの中止や延期、販売促進の低迷を受け、
   ダイレクトメール、チラシ・パンフレット類など商業印刷やSPツールなどは大きく減少
  ・出版物の発行が減少
  ・出版印刷・一般商業印刷の需要が前期並みの水準に回復することは難しい
 
パッケージ市場:
  ・外出自粛により、飲料用包材や外食向けの業務用包材が減少
  ・家庭用の食品・日用品向けパッケージ需要は堅調に推移
  ・医療・衛生包材や環境対応包材は増加
 
その他:ビジネスフォーム市場、デジタルソリューション市場、など:
  ・自粛に伴う個人消費の落ち込みによる利用明細、請求明細など事務通知書は減少
  ・緊急事態宣言によりデータプリント関連のアウトソーシング需要が減少したが、
   第3四半期以降は一定の水準まで回復
  ・窓口帳票、配送伝票などのビジネスフォームも減少
  ・交通系ICカードや乗車券の利用は大幅に減少
  ・物流に関わるラベルや物品管理用ICタグの減少
  ・IoTなどの開発案件は立ち上げ遅延
  ・企業の業務デジタル化対応やキャッシュレスなど、非対面・非接触のソリューションが増加

 

ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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