2月24日、電通から「2021年 日本の広告費」が発表されました。これは日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定したもので、毎年発表されています。
このレポートによれば、2021年の国内総広告費は6兆7,998億円。コロナ禍で大きく減少した前年(2020年)の6兆1,594億円から10%の増加で、コロナ前の2019年(6兆9,381億円)と比べて2%減の規模にまで回復しています。
また、折込広告やダイレクト・メール、フリーペーパー、POPなどが含まれる「プロモーションメディア広告費」は、1兆6,408億円(2021年)でした。前年(2020年)からは2%と微減でしたが、コロナ前(2019年, 2兆2,239億円)と比べてその規模は74%(26%減)となっています。
プロモーションメディア広告費の詳細を見ると、コロナ前と比較して減少幅が大きいものとして「イベント・展示・映像ほか(57%, 43%減)」「交通広告(65%, 35%減)」「フリーペーパー(68%, 32%減)」が挙げられます(減少幅は2021年と2019年の比較)。
この背景には、コロナ禍で多くのイベント・展示会が延期・中止になったり、鉄道や空港、タクシーの利用者が減ったりしたことがあります。フリーペーパーでは、「一部発行紙の休刊、エリア統合、発行号の削減」や、「ターゲットメディア系フリーペーパーでのデジタルシフトの加速」などもありました。なお、各戸に直接配布するポスティングタイプのフリーペーパーは部数的には比較的堅調となっています。
一方、「ダイレクト・メール(95%, 5%減)」「屋外広告(85%, 15%減)」の減少幅は比較的小さなものでした。DMでは、巣ごもり・在宅需要などを取り込んだことがその理由として挙げられます。特に、デジタルマーケティングと連動したパーソナライズDMがさらに広く活用されたり、インターネット広告だけではカバーすることが難しいターゲット向けに無宛名便DMの活用が増加したりしました。
屋外広告は、2020年には緊急事態宣言で大きく減少しましたが、2021年は外出自粛が緩和されて人流が回復したため、出稿控えも全体的に和らぎました。その際、繁華街において大型で目立つインパクト型OOH媒体(大型サイネージや大型ボードなど)に需要が集中しました。
次回は、コロナ禍でも拡大を続けるインターネット広告費について分析します。お楽しみに!
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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