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孔季信No.41 「悩みながら まっすぐに」(1992年6月)

「文字ばかりのものに、かえって愛着のあるものが多い」と新井さん。
1991年はソ連邦崩壊の年。その年のNHK「紅白歌合戦」で、ラトビアの首都リガの教会から地元の人達の大合唱が放映された。このNo.41は、その光景などを思い出しながら作った。

[No.41本文]
小学校の頃世界各国の歌を教えられ、毎日歌った。曜日ごとに変え月ごとに新しくしていくので、一年間に六十曲位にはなった。『故郷の人々』『ステンカラージン』『野ばら』『草原情歌』『河は呼んでいる』そして日本の『夏の思い出』等々。その頃習った歌が大好きで、今も事務所で聞いている。心が落ち着く。その中の『仕事の歌』にこういう一節がある。
  “イギリス人は利口だから
   水や火などを使う
   ロシア人は歌を歌い
   みずから なぐさめる”
小学生の自分に深い意味はわからなかったが、なぜか心に残った。
さて、旧ソ連邦はあっというまに崩壊し、人々は食糧不足の中、困難と新しい戦いに向かっている。先日の新聞にも『モスクワの台所』として伝えられていた。その記事の中、街のおじさんの話「国がだめでも泣かないことさ。何も無くても、歌って踊って、貧乏人はよく笑うことだよ」
『仕事のうた』以来のロシア人の魂に触れる思いがした。そういえば昨年暮、NHKで『祖国へ』という合唱を聴いたが、ラトビアのリガの教会、幼児からおじいちゃんおばあちゃんまでたくさんの人々の、心にしみる大合唱だった。
文化が発達し、豊かな暮らしと思える今日、なお人間の苦悩やたたかいは続く。幾多の変化も困難も待ち受けているいるだろう。だが、日々の泣き笑いから飛ぶまいぞ。歌を歌い、真摯に生活を見つめる中から、きっと明日は拓けていくと信じるから。好きなCMコピー“悩みながら、まっすぐに”
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