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デジタル複合機が開く新しい出版モデル ―― 誰がデジタルプリンターを使いこなすか 複合機のもたらすもの 今年の印刷界も、小型多色機やCTPからXML・PDFによる文書処理までさまざまな提案がありました。その中で話題としては地味でしたが、デジタルプリンターとしても複写機としても使える複合機のニュースが、件数では目立ちました。各社のニュースリリースからヘッドラインを拾っておきます(ニュースリリース)。 プリント/コピー複合機は、従来からある技術を組み合わせただけ、あるいは既存のシステムのコンセプトを改めただけのものであり、新奇性は乏しいのですが、プリンターとコピー機が一体だったらというオフィスユーザーのニーズを的確に捕らえたシステムといえます。 またデジタル複合機は、オフィスユースにとどまらず、これからの文書処理・文書出版のありかたを大きく変える可能性を持ったシステムです。出版のありかたを変える可能性は、もともとデジタルプリンターが持っていたものですが、複写機の外観を備えたことで、その意味がより理解しやすくなったように思われます。 富士ゼロックスの新ビジネス デジタルプリンター/複写機のトップメーカー富士ゼロックスは、12月に入って、デジタル複合機とコンテンツ販売を組み合わせたビジネスモデルを発表しました。デジタル複合機(とくにプリント機能)の使いこなしに関する当面の最終モデルともいえるもので、この種のシステムの普及は、印刷・出版界に大きな影響をもたらすはずです。 「マルチメディア・ドキュメントサービス・システム」というのがこのシステムの名称で、自治体、大学・専門学校、ホテル、空港、大型商業施設などに設置したDocuColor 1250 CPから、住民、学生、利用客などに対して、サービス情報や有料コンテンツを提供します。富士ゼロックスでは、システムの提供と並行して、コンテンツの格納・運用代行サービスや地域情報配信代行サービスなどをパッケージ化し、パートナー企業と協業してコンテンツ自体の提供も行うとしています。データの配信はインターネットを利用します。 詳しくは同社ニュースリリースなどをご覧いただくとして、印刷・出版の設備と業務をパッケージ化したこのサービスは、大手ベンダーの開発力、構想力を見せつけるものといえます。 ベンダーから請け負いへ 富士ゼロックスをはじめとする文書処理システムのベンダーは、この1〜2年、文書処理業務請け負いへのサービス拡大を打ち出してきました。すなわち、製品の開発・販売だけでなく、自社製品を利用した文書処理サービスへのモデル転換です。 こうした動きの背景として、おもに2つのことが考えられます。ひとつは、製品ユーザーが製品の機能をフルには使いこなしていない現状への不満です。製品の特質がかならずしも理解されていないことへの苛立ちもありそうです。 もうひとつは、電子政府、電子自治体、情報公開による巨大なマーケットの出現です。文書の扱いを業としてきた印刷会社・出版社は、この市場に参入するための比較的めぐまれたポジションにあると思われますが、最大手印刷会社などを除き、業界をあげての意欲は感じられません。ここにもシステムベンダーが自分で動き出した一因があります。 自社製品に対する自信とユーザーへの不信――、あいまってベンダーのソフトサービス化はさらに進む可能性があります。
(関連ベンダーサイト: 富士ゼロックス、シャープ、セイコーエプソン、日本電気、コニカ、セイコーインスツルメンツ、リコー、京セラ、日本HP、レックスマーク、キヤノン、東北リコー、ブラザー工業) |
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