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フォントをめぐる話題 デジタルフォントの動きから、歴史的活字の復刻まで、フォントをめぐる話題が続いている。 文字単位での購入が可能になるなど流通スタイルの多様化。写研、岩田、秀英など日本の活字文化を担ってきた代表的書体のデジタル化。これらの動きをひとことで言えば、オープン環境化の進展ということになろうか。クロスプラットフォームで使えるOpenTypeフォントの動きも注目されるが、各社の製品が出てくるのは来春以降と見られる。その中で、Mac OS X v10.1が、20,000字のヒラギノ文字セットを搭載して登場した。 外字フォントをインターネットでモリサワは、外字フォントを1文字ずつ買える会員制サービスGaijiXpressを年内にスタートさせる。サービスはインターネットを利用して行われ、ユーザーがモリサワの外字専用サーバーに登録してあるフォントを、検索、注文すると、メールで外字フォントが配信される。対象となるフォントは、JIS第1水準・第2水準以外の記号、書体記号、漢字などのポストスクリプトType1フォントで、既存のPSフォントと組合わせることができる。予定料金は、入会費1万円、利用料は1回の注文につき1200円(3文字まで含む)、4文字目からは1字につき400円。 ニュースリリース: [モリサワ]ニュース-最新情報-(2001.10.02)外字ネット販売システム「GaijiXpress」をJGAS2001に参考出品 ネット配信される大日本印刷の秀英体大日本印刷も、デジタルフォントのライセンスビジネスを開始した。その第一弾として「秀英体」の一部が9月からモリサワにライセンス供与されている。秀英体は、明治末期に開発された活版印刷用活字で、長い歴史の中で洗練を重ねた代表的日本語書体。昭和40年代のCTS化を経て現在は完全デジタル化され、印刷メディアのほか電子メディアにも使われている。ボイジャーのネットワーク対応電子書籍ビューワーソフトT-Timeで使われているのがこの書体である。 ライセンス供与を受けたモリサワは、かな書体のパッケージをまず製品化する予定で、配信システムGaijiXpressとともにJGAS2001展でプロモーションが行われた。 ニュースリリース: [大日本印刷]ニュース2001/09/27 [モリサワ]ニュース-最新情報-(2001.10.02)「かな書体パック」をJGAS2001に参考出品 写研書体をデジタル配信インターネット関連業務を営むシンカが昨年オープンしたNET-DTPというサービスを利用すると、文章をそのままアウトラインデータに変換してダウンロードできる。このサービスは和・欧4700書体を用意し、デザイナーにはうれしい写研の650書体が含まれる。写研書体については、その場でのダウンロードはできないが、30分〜60分以内にメールで配信されるとのこと。これまで写研書体はオープン環境で使えないのが利用者の悩みだったが、デジタル化・オープン環境化がさらに進めば、写研書体への回帰も起こるのではないか。 関連サイト: NET-DTP.com イワタの清朝体、宋朝体もデジタル化へデジタルフォントの発売元イワタエンジニアリングとその母体会社である岩田母型製造所は、10月1日付で経営を統合し、(株)イワタとして新発足した。そのイワタは、エンベッド可能なCIDフォントの「イワタ書体ライブラリーVer.4」を発表した。価格据え置きで全書体に約2000字の外字が付くほか、ラインアップにカナ書体、新聞書体などが追加された。 また同社は、経営統合の記念事業として、清朝体と宋朝体のデジタル化を進めている。名刺や案内状で広く使われるイワタの清朝体、宋朝体がラインアップに加わることで、デジタル組版の世界がまた豊かになる。 ニュースリリース: 株式会社イワタ発足のご案内 「イワタ書体ライブラリー」PostScriptフォント(For Macintosh)Ver.4.0 フォントワークスの外字作成ソフトマッキントッシュ用のデジタルフォントを販売するフォントワークスジャパンは、外字作成ツール「外字マスターNEO」を11月に発売する。このツールでは、部品をドラッグ&ドロップするだけで旧字体や異体字を作成でき、ストロークのウエート、セリフやヘッドの形状など書体本来の特徴が失わずに実行できる。作成した外字は、1バイトのポストスクリプトフォントとして利用できる。 製品情報: FONTWORKS - 外字マスター OpenTypeフォントの動き文字種が多い上、WindowsとMacintoshクロスプラットフォームで使え、プリンターフォントを別に用意する必要がないなど、多くのメリットを備えたOpenTypeフォントへの期待が大きいが、動きが本格化するのは来春以降と見られる。その中で、Mac OS X v10.1がヒラギノ書体20,000字を搭載して登場、フォントメーカーの間に戸惑いを生まれている。というのは、ヒラギノ書体を提供する大日本スクリーンを除いて、各社は15,000字の予定で開発を進めており、20,000字の文字セットへの対応は難しいという。今のところ開発スケジュールを明らかにしているのは大日本スクリーンだけで、来春OpenTypeパッケージを発売する予定。 関連情報: PAGE2001: OpenTypeが広げるフォントの未来 JGASフォトレポート,DTP/フォントなどの今を見る ヒラギノOpenTypeフォントのFAQ 本木活字の復元プロジェクト長崎県印刷工業組合、本木昌造顕彰会、印刷博物館学芸企画室、モリサワなどが主体となって進める「本木昌造・活字復元プロジェクト」の中間報告が、全印工連文化典のあった9月、大阪で発表された。このプロジェクトは、日本に近代活版術を導入した本木昌造の事跡を記念して、本木系活字を復刻・保存するもの。本木活字の種字と思われる木製活字(長崎市・諏訪神社所蔵)の調査をはじめ、各種の調査、実証実験、資料収集、研究などを行い、最終的には、次のような形で成果を公表する。 (1)三号楷書漢字活字の復元 諏訪神社蔵の多くを占める三号楷書漢字は、蝋型電胎法によるわが国最初のオリジナル鉛鋳造活字の種字と目される。この活字を復元するとともに、そのプロセスをビデオ化し、復元活字による本の制作を行う。需要があれば、デジタルフォント化も検討する。 (2)展覧会の開催 印刷博物館で来秋開催する。本木昌造、本木系活字に限らず、幕末・明治初期における活版印刷の全体的動向や海外の状況も伝える資料を展示する。 (3)記念出版 諏訪神社蔵の木製活字の調査検証や蝋型電胎法による活字の復元など、このプロジェクトの中心的な成果をまとめ報告する。本木昌造、本木が開設した活版所、本木系活字、初期印刷物などに関する資料、研究結果などを盛り込む。 関連情報: http://itp.ne.jp/BtoB/news/btob_in/m2001090001.html (01.11.5) |
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