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「技術トピックス」目次


構造化文書取り組みの現状と課題
――SHOWA会研修会から――

R.C_ZONE No.340
[2000/10/1]

ショーワのユーザー様で構成するSHOWA会では、8月28日、ジャグラ会館研修会場で「構造化文書とネットワークの具体的事例」と題して、セミナーを開催しました。既報のように、福岡、大阪からの参加を含め、定員の40名をを大きく超える60名様の出席があり、盛況のうちに修了しました。
以下は、その模様をアール・ジー(岡部善男社長)発行の「R.C._ZONE」No.340から、同社の了解で転載したものです。

開会のあいさつに立った幅和弘副会長(ショーワ社長)は
「昨今、政府、特に森首相からIT推進の発現が多くなされている。私達印刷業界でもデジタル技術、本日のテーマであるSGMLに代表される構造化文書、ネットワークについて取り組まれている方々がおられるが、なかなか商売に直結しない!と言われている。その中で、本日は、その構造文書に積極的に取り組まれ、成果を収められている(株)日出島の戸谷田順司営業部次長、三代川裕見システム開発室長の両氏を講師に迎えて、具体的なビジネス事例を紹介していただき、会員各社の今後の事業発展に役立てていただきたい」
と述べ、研修会に入った。

まず戸谷田講師は、別掲の「構造化文書とネットワーク」のレジュメを配布したあと、次の要旨を述べた。

構造化文書は、従来的な商品感覚で取り組むと難しい。弊社が構造化文書に取り組んだのは3年半前。社員の中に独学で構造化文書を勉強していたものがいた。
情報公開という中で、厚生省が扱う医薬品添付情報をSGMLにするかPDFにするか、学会で論争をしていた時期で、どちらに行くか分からなかったが、私ども社内で内容を検討すると、SGMLの方向に行くのではないか、もしPDFに移ったとしても、この際SGMLを優先しよう、と着手した。
SGMLにしたのは、弊社の得意先の関係で、これまでの組版を主体としたDTP関係をさらに太くする、そしてアウトソーシングの次のサービス展開に位置づけるためであった。

今年3月、雇用促進策の一環として公開スタートした官報データの構造化入札関係先は、極く一部の印刷会社と金融機関関係のシンクタンク系が多く参加した。
ページ単価は印刷業者の考え方とは大きく異なり、将来的な面で少し意欲が凋んだ!というところ正直であった。
構造化文書は情報公開の中で、今後は官公庁を中心に地方自治体へ拡大して行く。
コンピューターメーカーや大手企業が構造化文書システムを構築、そのシステム仕様にもとづいた価格設定が進む。
それは儲かるのか、儲からないのか。通常の印刷パイが縮んでいる中で、儲かるから取り組む、儲からないから取り組まない、という判断は、果たして正しいのかどうか。
例えば、これまで100人で取り組んできた業務が70人で済むようになった。余剰人員の30人で構造化文書に取り組んで赤字になったとして、100人でのマイナスと30人でのマイナスではその中身、質が異なる。

SGML、XML等構造化文書に着手、受注する場合、次の3つのパターンが想定される。
(1)競争入札。定まった仕様書を最低限、理解し納期内に出来ることが第一条件。
(2)IT関連という事で、顧客が取り組んでいる内容をトレンド的にとらえ、その期待・要請に応える。構造化文書の利便性と効率的に、かつ将来における価値などの提案、企画を積極的に展開する。
(3)構造化文書は経済的にとらえにくい面がある。今後、印刷関連の方々が構造化文書に着手、取り組む場合、社内でどのようにデータを管理するか、管理責任体制が、私達の生き残りの大きなポイントになる。さまざまなデータ、アウトプット情報を統合管理、グルーピングできるかが大切である。
弊社ではカタログ、チラシ、マニュアル等々をルーチン的に、一定の決まりのもとに統合的に管理、それぞれの製品の流れを想定し概略を作成し、話を詰め、往々にして具体的になるケースが多い。
構造化文書は大掛かりにすると人的にもシステム的にもそれなりに費用がかかる。コンパクトに構えて、実績を積み重ねて行き、本日の会合のような横のつながりが大切である。

構造化文書は最終的にはアウトプットに、Web上のインターネットが主要な役割を担う。
ここには必ずシステム業者が入って来る。その手前の段階で、顧客にどうするかが大事。
顧客がこうしたい、という前に、顧客との間に、構造化文書を土台に、管理とアウトプットについて、打ち合せをしながらパイプを太くしながら、私達の対応も構築できる。
私達の役目は、お客様のデータ管理を中心とした運命共同体に持って行くことにある。

三代川講師は、構造化文書の一フォーマット「XML」の特徴、XMLと他のドキュメントフォーマットとの比較等を具体的に解説、また、某医薬品メーカーの注射薬剤の添付文書を例に、独自性のある構造化文書サービス事例を紹介した。
ネットワークへの展開については、Webサイトコンテンツの変遷(会社紹介型から3年前の技術重視型を経て、現在の「質と表現力」へのサイトづくり)、紙面で見やすいレイアウトを作るノウハウを画面で見やすいレイアウトに活かす、加工業からの脱却とオリジナリティがある独自性を模索したサービス展開、さらに、構造化文書を基礎とした文書管理システムの問題提起などへの対応を具体的に紹介、活発な質疑応答の中に構造化文書への理解を深めた。

研修会レジュメ 「構造化文書とネットワーク」(部分)
◎印刷業界のデジタル化に伴う開発における2つの側面
1. ワークフローの見直しと期待に反する「受注ペイ」の動向と縮小不安
――受注パイ縮小に対するクライアントの要望
(1)低価格化=安く!
(2)高速化=早く!
(3)担当者の省力化=楽に!
(4)投資対効果への企画=儲かる企画なら……!
2. ネットワークコミュニケーションへの取り組みとノウハウの所有度
――あたかもネットワークがあらゆる流通を凌駕しそうな現実とのギャップ
(1)日常業務や日常生活とのギャップ=ピンとこない
(2)情報の不足(印刷業界に対する評価)
(3)ノウハウの不足(データベース、ネットワーク等の基本)
(4)不透明な経済性と将来性=本当に儲かるのか
(以下略)
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