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2002業界トレンド ―― リーディングカンパニーは環境問題に力 シェア争い激化する印刷機市場 SHOWA NEWS No.95 [2002/10/1]より(部分) PRINTEK TOKYO/東京グラフィックスフェア合同展が幕を閉じ、2002年のおもな展示会がすべて終了した。IPEX2002などの成果もまじえて、業界動向を振り返っておく。 ■各社から自動組版ツール ショーワは、PRINTEK TOKYO/東京グラフィックスフェア合同展で、データ変換システムMS-Word to Xml e-publisherを発表した。簡易タグを付けたテキストデータから、組版済みWordデータやXMLデータを自動生成するシステムである。用途や印刷物の体裁に合わせてシステムをカスタマイズする必要があるが、簡単な教育だけで一般の文字入力オペレーターをXML入力オペレーターに転用でき、運用コストはきわめて低い。 そのほか各社から、それぞれ特色のある自動組版システムのリリースが続いている。 住友金属システムソリューションズは、組版システムEDIAN WINGの自動組支援ツールBee For EDIANを合同展で発表した。データベースとの連携により、カタログや情報誌など、大量ページの定型ブロックで構成されるレイアウト紙面編集の自動化や、One to One 製作物の自動編集などで威力を発揮する。開発は管理工学研究所。 また同社は、シンプルプロダクツとの技術提携を発表。XMLデータ自動レイアウトシステムXML Automagic with EDICOLORを10月から発売し、2003年所通にはEDIAN版もリリースする。 シンプルプロダクツには、すでに同社の組版ソフトiWAVEに対応したXML Automagicがある。 モリサワは、合同展で組版システムMC-B2の新バージョンを発表するとともに、データベース組版を可能にするオプションソフトB2-autoを発表した。また、印刷会社が自治体や一般企業など印刷発注者向けに,組版加工を含むソリューションを提供する際に使用するソフトウェアとして、自動組版処理専用組版エンジンB2-engineを発表し、MC-B2周辺の自動化機能の強化をはかっている。 ■買収でラインアップを拡充する富士ゼロ 昨年10月にNECからプリンター事業を買収した富士ゼロックスが、今年は富士通から業務用プリンター事業を譲り受ける。東京・稲城市にある開発部門、兵庫にある製造部門の資産と従業員を引き継ぐほか、富士通の関連会社に消耗品を納める権利も取得する。正式契約は11月。 ■オセ、日本市場に本腰 日本市場の本格開拓を目指して99年に日本オセを設立したオセの動きが、ここにきて加速している。 オセは、世界80カ国以上で事業を展開するドキュメント関連機器のリーディングカンパニー。とくに業務用大判プリンターではヨーロッパで75%、アメリカで60%のシェアをにぎり、日本では複写業界で実績がある。 同社は8月、カラープリンターCPS700などでサカタインクスと代理店契約を結び、CPS700は「PRINTEK TOKYO/東京グラフィックスフェア」合同展のサカタインクスブースに出品された。また同社は、キヤノン製品のラインアップを埋める形で、キヤノンに中判モノクロプリンターを供給、主として大判プリンターを受け持つ日本オセとともに日本市場での活動を広げている。 強力な国内メーカーがひしめく小型プリンター/複写機の分野では、まだ動きを見せていないが、同社はこの分野への参入意図も表明している。 ■ハイデル、中国市場で急成長 ハイデルベルグの中国法人ハイデルベルグ・チャイナの売上高が、2002年3月期で約300億円となった。はじめて日本法人の売上高を上回り、アメリカ、ドイツに次いでグループ内第3位に浮上。マン・ローランドや小森コーポレーションなど外資系印刷機メーカーの中で、ハイデル・チャイナの市場シェアは6割となっている。 中国の国内総生産(GDP)は2001年7.3%の実質伸び率だったが、印刷市場はこれを大きく上回る12%に達したといわれる。 ■マン・ローランド、日本・中国市場を強化 マン・ローランドと大日本インキは、両社の合弁会社ディック・マンローランドの持ち株比率を8対2に変更し、8月末で株の譲渡を終えた。マン・ローランドは日本市場でのプレゼンス強化を表明し、持ち株比率を高めたことで「生産設備から顧客まで、自社製品の販売からサービスのプロセス全体を効率化できる」としている。 また同社は、上海でマンローランド印刷器材有限公司を設立した。枚葉機市場のシェア25%を目指し、輪転機市場のシェア40%を維持するとしている。 ■多様化するオフセット印刷機 コピー/プリント複合機から大判プリンターまで、あいかわらずデジタルプリンターのリリースがにぎやかだが、オフセット機の分野でもさまざまな動きがある。 最近の傾向のひとつは、オフ輪から枚葉機への回帰。輪転から枚葉への移行は、単色文字物からカラー物へのシフトと連動している。大きな枠組でいえば、オフ輪とデジタルプリンターに奪われたシェアを枚葉機が取りもどす動きでもある。 今年4月のIPEX2002では、世界の主要メーカーがそろって8色両面機を出した。4C/4C専用機と8C/4C兼用機があり、両面印刷の生産性向上を目的とする導入だけでなく、小ロット化が進むオフ輪市場で、乗り換えをはかるオフ輪業者も多いという。 世界的なトピックスとして、マン・ローランドDICOwebの実用化がある。これまでドイツの新聞社などで運用されてきたが、今春のIPEX2002では稼動状態でお目見えし、スイスやトルコの印刷会社での導入も発表された。 DICOwebは、プレスともプリンターともいえる独自の印刷方式を採用したデジタル印刷機。特殊なテープを版面にあて、サーマルレーザーでテープ上の特殊樹脂を版の上に転写する。ついで、版をヒーターで加熱すると転写された樹脂が版に定着して画像部となる。画像は機上で洗浄・消去することができ、版材は200回まで繰り返し使える。開発の構想が発表されてから5年目、これまでに類のないシステムの実用化である。 ■1人平均出荷額、埼玉県がトップ 印刷出版研究所がまとめた平成12年工業統計の解析記事(「印刷新報」8月22日号)によると、印刷事業所の平均従業員規模は、埼玉県がトップで16.2人、ついで奈良と山口の15.0人、福岡の13.9人が続く。また1人平均出荷額でも埼玉が3240.1万円でトップ、これに京都、兵庫、奈良、東京が続く。 都道府県別の事業所数は、東京、大阪、愛知、埼玉、神奈川、北海道の順だが、総出荷額では埼玉が大阪を抜いて2位につけている。 「新報」では、「大都市から周辺地域に工場が移転している様子が、これらの数字からうかがえる」としている。 ■環境、自然でアピール 印刷関連メーカーでも、環境問題への対応や自然保護の姿勢を強めている。 富士ゼロックスは、2001年度の環境関連活動を中心にまとめた「環境報告書2002」を発行した。同社は地球環境問題や資源・エネルギー問題を経営における最重要課題として、2010年に2000年比で環境経営効率を2倍のレベルに引き上げる環境行動計画(2002〜2004年)を定め、グループの総力をあげて取り組んでいる。「環境報告書2002」は同社のウェブサイトでも公開される。 リコーは、環境NGO日本野鳥の会やんばる支部が沖縄県のやんばる地域で実施する「森林保全のための環境教育事業」に支援を行うことを決め、3年間で1,330万円をやんばる支部に寄付する。やんばる(山原)の森は、沖縄島の北部連山に広がる照葉樹の森。この「森林保全のための環境教育事業」は、やんばるの自然の重要性、保全のための手立てなどについて、地域住民の意識向上を図ることを目的にした教育プロジェクトで、とくに同地域の次代を担う子供達(小中学生が中心)を主な対象として環境教育を行う。リコーは1998年度から環境会計を公表するなど、環境問題に最も意欲的な企業のひとつ。 コニカは7月、2001年度の国内外コニカグループ環境保全活動の実績および成果をまとめた「コニカ環境報告書2002」を発行した。同社は、2001年度から「環境予算制度」を導入し、今回から予算と実績の対比を掲載している。 適切に管理された森林の木材を使用した森林認証紙の生産を進める三菱製紙は、このほど、八戸工場に続きいて北上工場において、FSC(森林管理協議会)森林認証制度の生産・流通・加工工程の管理認証(CoC認証:Chain of Custody)を取得した。製造工程で使用される全木材繊維の30%以上が森林認証繊維である紙には、認証マークを添付することができる。 そのほか、2005年までにグリーン調達率100%と全工場でのISO14000取得を目指す(共同印刷)、2005年までにグリーン調達率100%(NEC)、環境広告のウェブ版を開設(富士通グループ)、環境対応インクの値下げ(理想科学)など各社のニュースがつづいている。 →環境問題リンク集 |
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