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ISO9002をスピード取得
(株)三州社がキックオフから3カ月で

R.C_ZONE No.340 [2001/9/1](提供:アール・ジー)


株式会社三州社(本社:東京、小山寛爾社長)は、このほど「ISO9002」を認証取得した。
同社は、昭和31年2月に自治省とその外郭団体を顧客に謄写印刷業として創業。その後、通産省、農林省など幅広く官公庁を顧客先として現在に至る。
現在、同社の売り上げ構成は官公需が70%を占めており、ISO対応は必然の流れでもあった。
特に、昨年の7月に東京都財務局が打ち出した、入札参加条件のISO取得奨励は、印刷関係業界には大きな激震を発信したことは記憶に新しい。
同社が所属する東京グラフィックス、上部団体のジャグラは小規模事業会社が多く、また、業者数も多く、すぐにISO認証取得に向けたスタートは出来ないが、東京都の方針は、官公庁をはじめ地方自治体へ、そして民間企業に波及して行く。

いずれ取るべきものなら
小山社長は、業界が催す各種ISOセミナーに積極的に参加、また、顧客先でもある都庁関係部署にも情報収集、意見交換を重ねた。
その過程の中で「01年秋ごろまでに取得努力するように」と要請を受けた。
「いずれそうなるものであるならば、出来得る限り、早い時期を目指そう」と、本年2月1日、同社創業記念日にあたることから「ISO取得オープン」を宣言、「ISO取得推進本部」を設置、自ら推進本部長に就任、また、総責任者に土井憲一生産本部長、各セクションから11名を任命、第1回目の打ち合わせ会を開催、今後の推進計画を討議、次のようなスケジュールを決定した。
▽4月までにマニュアル関係の作成を終了。
▽5月連休明けにキックオフ、7月に予備審査、8月に本審査、9月に認証取得
といった大まかなスケジュールを建て、準備推進に取り組んでいたところ、コンサルタントの太洋社の指導もあって、計画予定が1か月早く進行、6月初めに内部審査、6月21日に予備審査を受け、7月16日〜17日の本審査で認証取得の内示を受け、このほど正式に認証を取得した。

コンサルタントに恵まれる
キックオフして、3か月余の短期間、トントン拍子でISOを取得されたのは、これまで本紙編集部でも聞いたことがない最短記録である。
「これはコンサルタントの太洋社の皆様のお力添えによるものです。正直に申し上げて、コンサルティングについては、横浜や都内で認証された同業者に相談をさせていただきました。
それぞれの方々が一様に言われることは『マニュアルづくりが大変である』とのことでした。コンサルティングの先生方が、印刷形態、印刷知識に乏しく、ISOとの整合性面で時間と費用がかかることを強調されていました。
その点、太洋社さんは、複写産業ではあるが、印刷業務も手がけており、私どもと共通する業態で事業展開をされていることから、また、私どもは2月〜4月は繁忙期に入るので、マニュアルづくりでケンケンガクガク討議して作成する時間がなく、太洋社さんにお願いしました。
これは正解でした。同業者として的確な指導を得られました」(小山社長談)
当初は、五里霧中、月平均3回位、土曜日は丸一日、平日は午後に、研修説明会を開催、回を重ねるごとに、ISOへの理解が高まった。
「終わってみると、ISO自体がどんなものであるかわからぬままスタート。また、スタッフ12名が、果たしてどこまで責任を努められるか、不安をいだいていたが、社員を含めスタッフ全員が、私が想像していた以上に、真剣に熱心に取り組み、推進してくれた」と、社員に感謝の言葉をあらわにした。

スピード取得を可能にした長年の下地
同社にはISO取得に至る下地が長年にわたって培われていた。
例えば例年、新春の1月15日の祭日を利用して、係長以上が出席して、丸一日をかけた新春経営幹部研修会を20年近くにわたって実施開催してきている。
同会議の午前の部では、各事業責任者が事業計画目標を詳細に発表説明、午後は、それぞれ専門分野の講師を招いて講演やセミナーを開催、情報交換を行う。
また、月に1回開催する社内業務連絡会議では、各事業部の計画遂行状況を報告、併せて討議するなど、会議の運営法、会議内容の進行等に手なれている。
もう一点は、帳票をはじめ作業進行書類がキチンと整理・徹底されていたことがあげられる。
受注伝票から作業指示書、用紙手配書、配送業務まですべてをオフィスコンピュータにて管理、作業日報が作成され、原価計算に至る帳票・指示書管理は見事なものだ。
また、印刷には“変更がつきもの”という考え方にたって、営業と生産部門間には「変更仕様連絡書」といった指示書を通じて作業がすすめられてもいる。
今回のISO取得にあたっては、これら既存のマニュアルを最大限に活かし、ISO向けの新たなマニュアル作成をできるだけしないように、太洋社のコンサルティング部員が指導した。
これらの土台があって、超短期間でスムーズな取得に至ったものと思われる。―― ために、同社では、ISO取得前と認可後の社内体制に大きな変化は見られない。
小山社長も「ISOの認可を得たという看板だけではなく、ISOの目標管理の積極推進、ISOの要求事項に添った経営体質強化に結びつけて行く」と、ISO取得の取り組み活動の中で研鑽、学んで来た多くの事項と、ISOの良い手法を持続させることが、CSに結びつく点を強調している。

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