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リョービ東工場で3404DI機を視察
――SHOWA会見学会事業――

ニュープリンティング株式会社
佐藤 和彦

「SHOWA会」(小山寛爾会長)は、10月18日から19日の両日、昨年末に竣功したリョービ広島東工場(広島県府中市)の見学会を実施し、本社、本社工場、東工場の印刷機製造工程を見学。東工場では、drupa2000で発表されたダイレクトイメージング機の「RYOBI 3404DI」内覧会に参加し、実演等で新技術を見学、研修した。
工場見学会には山下宗行SHOWA会副会長をはじめ総勢24名が参加し、ショーワから辻善司専務、井沢秀春部長と、池内崇、長場敬太、新田一之、大友弘一の社員4名、リョービイマジクス(株)からショーワ担当の天野卓二課長代理が同行した。

初日の10月18日、午前9時07分にひかり117号で東京駅を出発、岡山で在来線に乗り換え、倉敷の大原美術館を見学後、市内の美観地区を散策した。なお、大原美術館は、日本初の西洋美術館として倉敷の運河沿いに誕生し、今年で70周年となる。1930年、紡績業や金融業を営んでいた事業家の大原孫三郎が、親友の児島虎次郎を記念して設立したもので、今年までに3000万人の来場者を数える。エル・グレコ、ゴーギャン、ロートレックなどを中心に、また、古代オリエント美術も所蔵している。ショーワ会一行はここ大原美術館で芸術の秋を堪能した。
午後4時過ぎに倉敷駅を出発し、午後5時に福山駅に到着、福山駅前の福山ニューキャッスルホテルに投宿した。なお、午後6時から、ホテル内の靹の浦奥座敷で懇親会を開き、リョービ(株)の石井グラフィックス事業本部長、リョービイマジクス(株)から丹羽東京支店長、土本営業部長らが懇親会に参加し、歓迎の言葉を述べるとともに、RYOBI 3404DIの内覧会の要点について説明、二次会も行った。

二日目の10月19日は、午前8時にリョービが用意したバスでホテルを出発し、午前9時からリョービの工場視察を開始した。
府中市の本社では、三船リョービ常務、山下リョービイマジクス社長が出迎え、本社工場及びリョービ広島東工場の概要説明を受けた。歓迎の挨拶に立った三船常務は、「40年前から印刷機分野をスタートし、当時のデュプリケーターといわれた時代からカラー化、高機能化の方向に進んできた。今年は機上で刷版に画像形成して印刷するマシンをdrupaで発表し、今回、日本で公開するに至った」と述べた。また、山下社長は、「今回発表した3404DIをはじめ21世紀に向けたリョービの製造技術をしっかり見ていただきたい」と挨拶した。

見学会ではまず、品質管理システムのISO9001と環境マネジメントシステムのISO14001の両国際規格を取得している本社工場内の(1)アルミダイカストの金型設計部門と金型加工製造部門、(2)金型組み付け工場、(3)金型を使った鋳造工程を見学した。同社のダイカスト製品は、自動車をはじめ、電気機器、事務機器、農業機械、住宅機器などあらゆる分野に使われている。ダイカストの製造工程では、金型をCAD・CAMシステムなどで設計し、全自動の精密機械加工によりミクロの制度で金型を加工、その金型に700℃のアルミを注入し、3300〜3500tの圧力でプレス、全自動で様々な分野で使われる高品質のアルミダイカストを製造する工場を視察した。

次に本社工場に隣接する目崎工場(協和精機)を見学した。同工場では、ISO9002を取得しており、リョービの菊四裁判オフセット印刷機「520シリーズ」の製造工場となっている。近年は2色機以上の機種が多いという説明を受けた。
続いて、バスで10分移動し、今回の主目的である3404DIの内見会が行われるリョービ東工場に到着した。
昨年11月に完成し、今年1月から始動したリョービのメイン印刷機装置工場である広島東工場は、敷地面積10万9000m2、建築面積1万8800m2の規模で、一部5階建て、平屋棟。企画、設計、生産、品質管理などの一貫した生産体制のもとで、A2サイズの中型オフセット印刷機を中心に多彩な印刷機器および印刷関連機器を生産している。
建物内は、1階が工場、ショールーム、テスト稼動室で、1万7000点の部品を自動倉庫に格納したパーツセンターもここにある。4階は印刷、プリプレスの設計部門、レクチャールーム。5階は講堂、社員食堂となっている。リョービの社員2200人中、300人が東工場で働いており、菊半裁の「68シリーズ」や菊四裁「510シリーズ」、そしてdrupaで発表されたA3判ダイレクトイメージング機の「RYOBI 3404DI」を生産している。

グラフィックスシステム本部では、印刷機・プリプレスシステムの設計および製造の分野で1997年に品質管理システムのISO9001を、1998年に環境マネジメントシステムのISO9001を取得しており、広島東工場でも品質管理体制、環境保全体制がととのっている。
見学会では各階の内部を見学した後、特別展示室で、編集機の新製品「EP-X」からRIPを通し、3404DIの印刷実演を研修した。プレステック社と共同開発されたダイレクトイメージング装置内臓の「3404DI」は、同社初のデジタルオフセット印刷機で、(1)優れた品質、(2)高生産性、(3)イメージングオペレーションのメリットがあり、特長として2胴で4色の印刷が可能になっている。一つのイメージング装置にレーザー、レーザードライバー、デジタルエレクトロニクス、モーションコントロールを組み込んだプロファイアーイメージング技術を搭載、また、機構は、3倍径の圧胴を中心に、2組の2倍径のゴム胴、版胴をサテライト状に配したV型サテライト5胴配列となっている。この構造を採用することで、4色刷りでありながら、従来の4色機と比べ、小型化が実現した。

3404DIは、プレステック社が新開発したファイヤーパワー(FirePower)マルチビームレーザーが版胴に供給された刷版の表面のシリコン層を焼きとばし、直接スクリーニングドットを形成。レーザーの解像度は1270dpi(150線相当)と2540dpi(200線相当)が選択可能となっている。また、18000rphという版胴の高速回転により、2540dpiで約5分30秒、1270dpiで約2分30秒で、4版同時に高速イメージングが行える。4色の絵柄位置調整も不要で、リョービインキングにより、印刷開始時に版面上に適量のインキをインキローラーに送り出し、自動的に印刷を開始するためヤレも少なく、印刷準備時間も短縮された。
また、版胴とゴム胴にベアラコンタクト方式を採用しており、高速印刷でも安定した印刷品質を保持。さらに用紙が圧胴にくわえられたまま、くわえ換えられることなく2回転することで4色印刷を行うため、くわえ換えによる印刷トラブルや用紙バタツキが発生せず、見当精度の高い印刷が可能になっている。

3404DIに使われる版は、プレステックのロールタイプの水無し平版「パールドライプラス」で、給湿液の管理が不要になっている。また、版胴にロール判をセットしたあとは、自動で4版同時に版を送る。ボタン操作だけで新しい刷版が版胴に自動供給され、古い刷版はロールに巻き取られていく。
ショールームでは版の洗浄から、版の取り付け、画像形成、インキングまで、刷り出し時間がわずか9分で印刷実演した。

3404DIの見学後、工場内で食事をはさんで、1階ショールームに移り、常時展示されている菊半裁68シリーズの反転機構付5色機、4色機、菊四裁52シリーズ5色機ニスコーター付のCTP印刷実演、および3304HA、連続帳票用の500シリーズの印刷実演を見学した。
午後1時50分に工場視察を終了し、帰途は、広島東工場からバスで福山駅に戻り、午後2時56分にひかり126号で東京へ向かい、午後7時過ぎに東京駅で解散し、このたびのリョービ広島東工場見学会の全行程を終了した。
(00.11.6)

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